企画展 いま、「女性」はどう生きるか ―キャリア・結婚・装い・命―

いま、「女性」はどう生きるか ―キャリア・結婚・装い・命―

  • Ⅰ.自分に力をつけて社会を変えよう 2021/5/13~10/6
  • Ⅱ.児童婚は遠い国の話? 2021/10/11〜2022/4/28
  • Ⅲ.美か束縛か 2022/5/12(木)~2022/10/5(水)
  • Ⅳ.世界から「命の誕生」を考える 2022/10/13(木)~2023/4/27(木)

ご挨拶

なにが問題なのかを、私たちはなかなか気づけません。
それをもたらすのは、思い込みや固定観念というある種の「常識」です。

戦後まもない1948年。
女性が大学で学ぶことは、決して当たり前ではありませんでした。
それを社会課題ととらえ、その解決を目指して、聖心女子大学は誕生しました。

それから73年を経た2021年。
日本社会も、女性を取り巻く環境も大きく変わりました。
一見、男女の不平等や格差は縮まったかのように見えます。
しかし、そこにはまた、気づき難い新たな社会課題も生れつつあります。

これから2年間、聖心女子大学を会場として2つの展示を行います。
企画展「いま、「女性」はどう生きるか」は、女性の生き方に深くかかわる4つのテーマ―キャリア・結婚・装い・命(リプロダクティブヘルス)を取り上げて、国際比較や歴史的視点を加えながら紹介していきます。それぞれのテーマについて、私たちを知らず知らずに縛っている「常識」の姿を見定め、その背後にどんな社会課題が隠れているのか、を探っていくものです。
同時開催の展示「緒方貞子さんと聖心の教育」は、日本人初の国連難民高等弁務官として活躍した緒方貞子さんの活動や生き方を紹介していくものです。難民支援という国際的な課題に対して、従来に無い理念と方法で解決に取り組まれた緒方さんが、なにを見、どのように考え行動したのか。そうした緒方さんを育んだ草創期の聖心女子大学の教育のあり方とともに紐解いていきます。

みなさんご存じのように、緒方さんは2019年10月22日に逝去されました。
これら2つの展示は、緒方さんの生き方に学びながら、緒方さんが私たちに残したメッセージ‒‒‒“何が自分たちの本当の課題なのか見極められていないからではないでしょうか?”‒‒‒に応えようとしたものでもあります。本展示を通じて、女性にとっても、誰にとっても、生きやすい未来を築いていく。
そのために、私たちが気づかなければならない社会課題はなにか。
そのために、私たちはどんな行動を起していけるのか。

こうした思いを、展示をご覧になったすべての方々とともに共有できたのならば、それはまさに望外の喜びとするところです。

聖心女子大学現代教養学部 国際交流学科
名誉教授 小川早百合

シンボルオブジェ優しくない、 / Unfriendly,

どこか不機嫌そうに見えるあのひとは
もしかしたら
「優しくてもらえない」のかもしれない
「優しくできない」のかもしれない
「優しくない」と責められたのかもしれない
けれど
あのひとの日々はエネルギーに満ちている
きっと自分だけの「優しい」を握りしめているから

あらゆる場面で多用されている「優しい」という言葉。
そこにはさまざまな理想が詰め込まれ、担わされる意味が徐々に巨大化しているように感じます。
そろそろ、私たちがそれぞれの奥にしまっている「優しい」を取り出し、点検する時期なのかもしれません。
誰かに優しくできない時だって「優しい」について考えていい。
矛盾は気にしない。
自分だけのものとして。

さとうりさRisa Sato

美術作家。1972年東京都生まれ。
抽象的でありながらも親しみを感じさせる大型のソフト・スカルプチャーを、屋内外を問わず公共のスペ ースに出現させ、作品を通じたコミュニケーションの可能性を考察する。
ワークショップを通じた共同制作なども数多い。令和3年度 横浜文化賞 文化・芸術奨励賞受賞。
「ヨコハマトリエンナーレ 2020」(神奈川)、「UNMANNED 無人駅の芸術祭 2020」(静岡)、「スリシュテ ィ・インテリム 2019」(インド)、「六甲ミーツ・アート芸術散歩 2017」(兵庫)等に出展。
2021年10月16日~2022年3月13日「ぎこちない会話への対応策 — 第三波フェミニズムの視点で」(金沢 21世紀美術館)に出展中。

www.risacan.com

同時開催
⼥性と健康「命と健康は平等か?」