ユネスコ教育勧告カード型教材サイト

カード教材の使い⽅

How to use

カード教材の使い⽅

Ⅰ:カードで何をするのでしょう?

いまの学校や地域に教育の可能性があるとしたら、それはどのような可能性でしょう。また課題があるとしたら、その課題の解決には何をいかに変えていけばよいのでしょう…。こうした問いについて、このカード型教材にある「キーワード」、「エッセンス(意訳)」、3つの「問い」を出発点として対話(ダイアローグ)をしながら考えてみましょう。

Ⅱ:対話(ダイアローグ)をする前に

  • 対面で学び合いの時間を持つとき、14枚すべての、もしくは一部のカードを印刷して使用することもできます。
  • カードの表面の上に「キーワード」、その下に「エッセンス(意訳)」、下部に3つの「問い」が記されています。裏には勧告の原文と翻訳があり、関連資料のQRコードが掲載されているものもあります。
  • カードは、グループに1組、あるいは、1人に1組、どちらでも構いません。
  • 4人〜6人くらいのグループを作ります。グループ数が多い場合は全体のコーディネーター役がいた方が運営はスムーズになります。ひとつの問いを話すのに5分〜10分はかかりますので、コーディネーター役は全体の時間を考慮して、扱うカードの枚数や問いの数を決めてください。
  • 初対面であれば、最初にグループで簡単な自己紹介をすることをお勧めします。今の気分(ドキドキ?ワクワク?)を伝えてもよいです。
  • グループ内にファシリテーター(進行)役を決めて話合いをすすめるとスムーズです。
  • 対話(ダイアローグ)を楽しみましょう。他人を傷つけない限り、どんな意見・感想を言ってもよいです。問いにはひとつの正解がある訳ではありません。「分からなくなる」ことも大事です。問いに対しての、また他の人の意見への疑問も出してみましょう。自分の意見を押しつけないようにしましょう。対話(ダイアローグ)のあとに自分たちの考えがその前と変わっていくのが対話(ダイアローグ)です。
  • クリティカル・シンキング(ホンモノを見抜く考え方)によって、対話(ダイアローグ)を深めていくことが大事です。クリティカル・シンキングについては以下のⅣや参考文献を参照してください。

Ⅲ:カードを使った対話(ダイアローグ)をしてみよう

  1. 4人〜6人くらいで輪になって座りましょう。まず、14のカード全部をみてみましょう。
  2. 気になった「キーワード」や「エッセンス」があるカードを何枚か選びます。
  3. ※コーディネーターが時間内で扱えるカードの枚数を決めます。グループ同士でカードが重ならないようにしたい場合や時間の制約がある場合には、コーディネーターがカードを指定するやり方もあります。

  4. 対話(ダイアローグ)をするカードの順番を決めて、グループ内の1人が「キーワード」と「エッセンス」をゆっくり声に出して読みます。
  5. ※具体的な「問い」から対話(ダイアローグ)を始めたい場合には、を省略するやり方もあります。

  6. 選んだカードに書かれている3つの「問い」から1つを選び、読み上げます。
  7. ※身近な問い、一般的な問い、行動に関する問いが順に並んでいます。最初の問いから順に始めることをお勧めします。

  8. 「問い」に関して、思いつく答えや新たな疑問や意見を出してみましょう。(1問につき、5分〜10分をめど)
  9. 別の「問い」についても同様におこないます。
  10. ※より多くのカードを体験してみたい場合は、1枚のカードの3つの問いから1つ〜2つの問いのみを選ぶやり方もあります。

  11. ひととおり終えて時間があれば、「キーワード」や「エッセンス」の意義や課題について自由に話しましょう。
  12. 別のカードについても上記のを繰り返します。
  13. 最後にグループで出た意見を他のグループの人たちに発表しましょう。その後、全体で対話(ダイアローグ)を続けることもできます。
  14. ※上記を参考に、人数、時間、参加メンバーに合わせた方法でご活用ください。

    ※上記の順とは逆に、より具体的な「問い」から始めて、「キーワード」や「エッセンス」について話し合うというやり方もあります。

Ⅳ:深い対話(ダイアローグ)にするためのクリティカル・シンキング(ホンモノを見抜く考え方)

※お互いに以下のような問いをかけあいながら対話(ダイアローグ)をしてみましょう。

  1. それは、どういう意味だろう?(意味を問う)
  2. なぜそう考えるのかな?(理由を問う)
  3. そのことの根本にある考えって?それって当たり前かな?(前提を問う)
  4. そこから考えられることって?(推論を問う)
  5. 本当にそうなんだろうか?そうじゃない場合は?(真偽を問う)
  6. 例えばどんなとき?そう考えることの根拠は?(根拠を問う)
  7. そうじゃない場合もあるんじゃないかな?(反例を問う)

Ⅴ:参考文献・資料

参考文献

  • 安斎勇樹、塩瀬隆之『問いのデザインー創造的対話ダイアローグのファシリテーションー』学芸出版社
  • 大田堯・山本昌知『ひとなるーちがう・かかわる・かわる』藤原書店
  • 鈴木大裕『崩壊する日本の公教育』集英社
  • 土屋陽介『僕らの世界を作りかえる哲学の授業』青春出版社
  • 豊田光世『p4cの授業デザインー共に考える探求と対話ダイアローグの時間のつくり方ー』明治図書出版

2023年ユネスコ教育勧告の邦訳(暫定訳修正版)

  • この教材は「令和6年度ユネスコ活動費補助金」による「『ユネスコ教育勧告』普及のための教材開発及び教員研修モデルの構築」事業の一環として作られました。
    また第2版作成は、文部科学省令和7年度ユネスコ未来共創プラットフォーム for 2030 ~UNESCOnnect~事業「ユネスコ活動に関する調査研究」の一環として実施されています。
    作成には聖心女子大学及び協力団体である日本国際理解教育学会ユネスコ教育勧告特別委員会の委員のほか、多くの学会会員有志のご協力をいただきました。
    ご協力をいただいた皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。

ユネスコ教育勧告推進事業委員
阿部裕子、風巻浩、木間明子、神田和可子、永田佳之
野島大輔、藤井三和子、平澤香織、矢野淳一、山西優二、吉田敦彦

イラスト・デザイン 池田系

第2版(2025年12月)