纏足やコルセットといった慣習は過去のものとなりましたが、現代の我々にも女性らしいとして、不自由な服装を強いられているものがあります。その1つが、多くの企業で着用が慣習となっているヒールのある靴です。
2019年、「女性にパンプスやハイヒールを職場で強制するのはおかしい」というツイートから、#KuToo運動が巻き起こりました。運動の中心となった石川優実さんは、仕事のために一日中パンプスを履き、つま先が血だらけとなった経験から、問題を感じるようになったと語っています。「男性はヒールなしの靴でいいのに、なぜ?」そんな疑問がこの運動の背景にあります。
- 石川優実『#KuToo―靴から考える本気のフェミニズム』現代書館、2019年
「#KuToo」の由来
「苦痛」と「靴」、アメリカで始まった性被害を告白する#MeToo運動とかけて名付けられました。#KuToo運動も#MeToo運動と同様、SNSを通して皆で声をあげて社会を変えようとする運動です。きっかけとなったツイートは多くの人に拡散され、注目されました。
ヒールの着用は義務?
2019年、#KuToo運動参加者が中心となり「企業が女性にパンプスを履くよう強制するのを禁じる」要望書と署名が厚生労働省に提出されました。しかし当時の根本匠大臣は「女性にハイヒールやパンプスの着用を指示する、義務づけることは社会通念に照らして業務上必要かつ相当な範囲だろうと思う」と回答しました。
世界にも広がる影響
2019年、イギリスのBBCは世界の人々に影響を与えた「100人の女性」に#KuToo運動の呼びかけ人の石川優実さんを選びました。ヒラリー=クリントン氏は、2020年に放送されたCNNの番組で#KuToo運動に触れ「素晴らしい方法で闘っている女性たちがいる」と述べています。