纏足という言葉を聞いたことはありますか?
布で巻いて足を小さく変形させる王朝時代の中国の慣習です。
「抑圧された女性」というイメージがあるかもしれませんが、女の子に纏足を施していたのは、父親ではなく母親でした。
幼い頃から苦痛を味わってきた女性自身が、我が娘に纏足をしたのはなぜでしょうか。このような、体の一部を締め付けるファッションは、他の国にも見られました。
19世紀後半のイギリスの女性たちは、コルセットをきつく締めて、蜂のように細い腰にしようとしていました。
現代の私たちから見れば「不合理」と思えるような装いの背後には、 それらを生み出した社会特有の文化や価値観などが存在していました。これらの風習は、今ではなくなりました。
しかし、現代でも、性別により特定の装いが求められる場面がなくなったわけではありません。
女性にヒール靴やパンプスを強要することへの反対意見が SNS上で繰り広げられた #KuToo 運動をご存じの方も多いでしょう。
本展示では、纏足やコルセットの歴史を学びながら、近年の#KuToo運動を捉え直し、
一人ひとりが自分に適した装いを選択できる社会を実現するにはどうしたらいいのかを考える機会を作りたいと思います。
聖心女子大学グローバル共生研究所 客員研究員
慶應義塾大学文学部 准教授
五味 知子
慶應義塾大学文学部 准教授
五味 知子