企画展 いま、「女性」はどう生きるか ―キャリア・結婚・装い・命―

gnadaa japan

スリランカ・タミル語で
「歩く」という意味を持つ
「Gnadaa ナダァ」
スリランカ北部元内戦地域の女性自立支援の
social fashion projectです。
女性たちが「働く」を社会で実現できるよう、
家庭のために受け継がれきた裁縫技術を「仕事」として
継続的な支援となるよう活動しています。

https://gnadaa.org/

ご挨拶

Gnadaa Japanは、成長し続けるソーシャル・ファッションの世界で歩き始めました。私たちは、スリランカ北部の元内戦地域に住む女性たちの、生きる姿が投影されている、彼女たちのファッションを愛しています。だからこそ、そのファッションを通して、彼女たち自身の力で貧困や偏見を克服するための支援となるように活動しています。Gnadaa Japanは、「縫うこと」「デザインすること」という「仕事」を通して、彼女たち自身で生活を再建するためのチャンスを提供し続けているのです。

長く続いたスリランカの内戦は、北部の町々に甚大な影響を与えました。Gnadaaの活動は、その町のひとつ、北東部にあるトリンコマリーで、内戦中の時から始まりました。当時、トリンコマリーを訪れた時、内戦で荒れ果てた大地のなか、女性たちが赤やブルー、サフランイエローの鮮やかな色のサリーを身につけ、壊れた道路を、子どもを抱き、ほこりだらけになりながら歩いていました。瓦礫や破壊のなか、生き抜くための決意と勇気を抱き、美しい色を身につけ必死に生きている姿に、とても強いメッセージを感じました。Gnadaa Japanは、このすばらしい女性たちの姿と彼女たちのファッションにこそ、敬意を表しています。

ファッションとは、最新の流行が美しいのではなく、自分のアイデンティティを表現するものであると信じています。Gnadaaの考えるソーシャル・ファッションに共感していただける方と、ひとりでも多く手を取り合っていけることを願っています。

代表 スベンドリニ・カクチ

gnadaa japan代表 スベンドリニ・カクチ

Gnadaa Story

インド洋に浮かぶ南国・スリランカ。
みなさんは、スリランカで長く内戦があったことを知っていますか。

他民族・他宗教国家のスリランカ。民族間、宗教間の対立の末、1983年についに内戦が始まりました。一つの国での争い、それは、昨日までの隣人が、今日から敵になることも意味し、兵士や市民の多くの命が犠牲になりました。
そして、さらなる被害。30年におよぶ内戦のなか、2004年にスマトラ島沖地震による津波がスリランカを襲い、3万人以上の人々の命が奪われ、家族、生活を失った人の数は計り知れません。

そのふたつの現場で、ジャーナリストである代表のスベンドリニが感じたこと。
それは、「破壊」です。
それはあまりにも暴力的で、人々の人生そのものを危ういものとする威力でした。

その「破壊」の中で、家族を守るため、生き抜くためにひたむきに暮らす女性たち。
そこには、破壊のなかから生まれる希望がありました。
愛する人を守る力強さ、人と人が手を取り合い生き抜く姿、そして、世界中がスリランカに心を寄せ支援の輪が生まれました。

「破壊がなければ気づかなかった」と、彼女は言いました。
破壊と直面しても、人は希望を持つことで、自分自身も力強く立ち上がり、そして、お互いを支え合う存在としても、前を向き、共に歩みます。だからこそ、Gnadaaは、希望を持つことを大切にしています。

スリランカ

Sustainable

Gnadaaの裁縫センターは、トリンコマリーの教会の敷地にあります。それは、内戦中であっても、「ほんの少しでも安心できる場所」が必要だったからです。女性たちが裁縫センターで作った作品を、都市コロンボで待つカクチさんに届けるのにも、大変な苦労と危険が伴いました。シスターやファーザーたちに作品を託し、朝靄のコロンボのホームで、そっとカクチさんに手渡しました。
危ないからできない、ではなく、一人ひとりができることをつないでいく。
「あきらめない」心が、今のGnadaaにつながっています。

2007年に誕生したGnadaaは、来年15年目を迎えます。小さな子どもだった少年が、お母さんを労わる青年になりました。

今日も一人ひとりが自分にできることを見つけ、毎日の生活の希望のために働いています。できないことがあれば、女性たち同士で支え合い、お互いに助け合っています。苦労を共にして、苦労から希望を見つけ、皆で前を向いて歩いています。
Gnadaaの活動は、そんな本来のヒューマニズム、人間らしい活動です。大きなプロジェクトではありませんが、関わりたいと思う一人ひとりが自分なりの関わりを持つ。そして、遠く離れていてもお互いの存在がお互いに希望を与える活動となることを目指しています。

Sustainable

Trincomalee

トリンコマリー裁縫センター

裁縫センターはトリンコマリーの静かな場所にあり、広々とした部屋は教会の庭園に囲まれています。 ここでは、女性たちが自分たちで仕事を管理し、家族の都合や商品の締め切りに間に合うように予定を立てています。平日はその日の仕事量に応じて働き、金曜日には裁縫センターの掃除をしています。職場であり、居場所でもある裁縫センターを、女性たちはとても大切にしています。

コロナでロックダウンしている時にはグループに分かれて週2日裁縫センターに集まり作業をしています。センターに来られない日は、家で作業をすることもあります。女性たちは、自分たちで考え、協力し、働く…希望と責任を大切に皆が働いています。

Muthurムトゥール リサイクル プロジェクト

2019年、トリンコマリー裁縫センターの10周年の誕生日を祝うために、女性たちと日本のメンバーで(スリランカ北東部の海沿いにある)ムトゥールという小さな町に新しいプロジェクトを立ち上げました。
新しいセンターでは、ジュートでできたお米の袋をリサイクルしてエコバッグを作っています。神父様が中心となったGnadaaのローカルパートナー「The Loyala Center for Ecology and Justice in Trincomalee」と一緒に、地元の女性たちが生き生きと働くことができる場を作り、この新しいプロジェクトに挑戦しています。

Gnadaa Voices

女性たちの姿
「悪ではなく美しいものを描く」

Voice.1「悪ではなく
美しいものを描く」

Gnadaaのデザインで大切にしているものは、「自由な心」と感じるものを描くことです。内戦を経験した女性たちは、大きな悲しみや不安を抱えていました。だからこそ、人間の自由の大切さを感じ、様々な美しい刺しゅうの商品を作っています。そんな思いのもと、女性たちの希望と前向きな心が、ひとつひとつの作品に込められています。

Happiness

Voice.2Happiness

ある昼下がりの裁縫センターでの会話。「貧困を解決するためにいい方法って何だと思う?」と聞きました。女性たちの答えは「Happiness」。さらに「あなたたちのHappinessって?」と聞くと、「安心して美しいものを作り、信頼できる人と仕事ができること」と笑顔が返ってきました。
あなたにとっての幸せとは何ですか?

助け合い、共に生きる。

Voice.3助け合い、
共に生きる。

グローバル企業も多く参入しているスリランカ。しかし、そこで働いている人々は幸せでしょうか。Gnadaaの女性たちは、家族がいて自分がいることを大切にしています。家族の具合が悪ければ、誰かが代わる。彼女たちを支えているまわりの人にも、互いをケアする心が育まれています。その安心があるからこそ、自分らしく働けています。
家族を守りながら生きる。自分らしさを守りながら生きる。
「一人ひとりが自分らしく働く」。この環境は、女性たち自身が築いてきました。

Roseに込められた思い

Voice.4Roseに
込められた思い

彼女たちの作品のひとつにある「テンプルローズ」。スリランカでは神様はとても近い存在です。女性たちは、寺院に行く時に、美しく清潔な姿で行きます。それは神様への尊敬を表します。髪にバラを添えていきます。あなたも神様に愛されますように、そんな彼女たちからの心がデザインにも込められています。

命、そして、強さ。

Voice.5命、
そして、強さ。

内戦中。「今日、命があること」を、毎朝確認して目覚める日々でした。 命がある事の尊さ。生きている事の尊さ。一瞬一瞬が、一人ひとりの人生です。 そして、今、女性たちは、家族と共に生き、働ける毎日に希望を持っています。生きていることを自覚し、希望を持って毎日を過ごす人々の姿は、とても力強い。 女性たちの姿は、出会った人々に力と希望を与えてくれます。誰もが平等に尊い命と強さを持っています。

Movie裁縫センターでの交流

ゴスペルスクエア国際協力ドキュメンタリー2015
映像提供:NGOゴスペル広場

https://youtu.be/aQ6FiOTaDWM

Social Fashion

ソーシャル・ファッションとは
ソーシャル・ファッションとは

流行ではなく、今を生きる私たちのファッションは、ミレニアム・ファッションです。これはファッションを通じて、今の社会を変えていくアクションです。私たちにとって身近なもの…洋服、靴、カバン。そして、アクセサリー。これらのファッションの選択の視点を変え、より良い世界に貢献し、世界を変える。
これが、Gnadaaが考えるソーシャル・ファッションの本質です。

私たちが生きている地球は、一人ひとり異なる人々が集まり生きています。
そして、画一的ではなく、多様であるからこそ、美しさは生まれます。多様性とストーリーが感じられる美しいファッション。それを身につけることで、あなたはソーシャル・ファッションのメッセンジャーとなります。

流行ではなく、今を生きる私たちのファッションは、ミレGnadaaのソーシャル・ファッションは、アイデンティティに関わるものです。
私たちのパートナーであるスリランカの裁縫センターの女性たちは、内戦を経験しています。その彼女たちがコミュニティをつくり、一針一針縫っている手刺しゅうの製品。それをあなたが受けとり、身につけることで、次はあなたからその先につなげることができるのです。

より良い世界となるために、ファッションを通して、一人ひとりがメッセンジャーとなる。これを実現させることが、私たちの使命だと考えています。
そして、このファッションに込められたアイデンティティを共有するために最も大切なのは、この使命に誠実であることです。ファッションを選ぶ、その時、心に、ソーシャル・ファッションのコンセプトが思い起こされ、この考えが広がることを願っています。

Gnadaa Friends

あなたがいるから次につながる

Gnadaaの仲間は、様々な力を合わせて前向きに歩いています。
私にも何かできるかな。何か一緒にやってみたい。
そのような一人ひとりの思い。そして、できる時に参加するというつながりが、継続的なGnadaaの活動を支えています。「しなければ」ではなく、「できることからひとつずつ」。それは、お互いを尊重するあたたかな支援となっています。

NGOゴスペル広場

NGOゴスペル広場

「楽しい時間のために使ったお金が、別の場所で大きな力になる」を合言葉に、様々な国際協力の支援活動も行っているNGOゴスペル広場。
合言葉としている“Sing in Unity. Live in Peace.”。この言葉の実践のひとつとして、コンサートで着用するオリジナル衣装の「エスニックローブ」を継続的に発注することで、裁縫技術向上とともに活動を支援しています。裁縫センターにも何度も訪れ、顔と顔がわかる関係と絆が生まれています。

できることを伝える喜び

できることを伝える喜び

Gnadaaでは、裁縫センターへのスタディツアーも実施しています。参加者は、裁縫センターを訪れ、趣味の裁縫やアパレルでの経験等を活かし、Gnadaaの女性たちに様々な技術を伝えています。
参加者一人ひとりが自分に「できること」を見つけ、プロではなくても、自分にできることを伝える。お互いの名前を呼び合い、会話をするひと時には、伝える側も、受け取る側にも、喜びが溢れる特別な時間が流れています。

思いを実現し、次へとつなぐ

思いを実現し、次へとつなぐ

私にできる世の中に役立つことってなんだろう…。そんな思いで過ごしていた時に出会ったひとつのイヤリング。この出会いがきっかけでスリランカの様々な状況を知ることが出来ました。
その後すぐに彼女たちに会いに行き、女性たちの笑顔とエネルギーに出会いました。
女性たちが作るイヤリングを身に着け、私もパワーアップして、月1回開催されている吉祥寺での朝マルシェに継続的に出店しています。平和な世界を願う小さな一歩です。

Le bouquet de marguerites
「やってみたい」を形にする

「やってみたい」を形にする

高校生になったら何か支援活動をしてみたい。その思いから、入学後所属した部活動で、Gnadaaの活動について自ら部員に説明し、学祭で出店することになりました。「Gnadaaの女性たちのために…」という顔がわかる存在への支援。女性たちの姿、スリランカで内戦があったことなどが、友達、先生、家族へ、高校生一人ひとりの言葉を通じて広がりました。

聖ヨゼフ学園インターアクトクラブ
フェアトレードって何?からはじまる

フェアトレードって何?からはじまる

「フェアトレード」を自分事として関わるにはどうしたらいいんだろう。そのような思いを抱くなかでGnadaaと出会い、授業の一環でアクションプランを計画しました。Gnadaaの総会にも参加して計画を説明し、学校でのバザーだけではなく、学外のイベントにも出店の機会を得ました。出店後には、持続可能な世界・北海道高校生ポスターコンテストで優秀賞を受賞。フェアトレードに関わることの一歩を、高校時代に体験できたことは今の私たちの財産です。

札幌聖心女子学院
学びから自分のアクションへ

学びから自分のアクションへ

大学授業で実施されたスリランカへのスタディツアー。スリランカに行ったという経験として終わらせるのではなく、自分たちでも何か関わりを持ちたい。その思いのもと、日本に帰ってから始めた支援活動。4年間しかない大学生活。卒業後はそれぞれの道を歩んでいますが、この活動を通して、スリランカは学生たちにとって親しい国となりました。そして、社会人になった今も、Gnadaaが心を寄せる場所となる事を願って、Gnadaaも継続的に活動を続けています。

聖心女子大学2018年度卒業学生有志団体Kandhi
みんなに伝えたいという思い

みんなに伝えたいという思い

「そんな活動があるんですね。何かお手伝いを。」というご住職様の言葉から始まったお寺の夏祭りへの出店。お祭りに訪れた子どもたち。くるみボタンを大切に選び、「おばあちゃんにプレゼントするの」「明日学校でスリランカについて教えてあげるの」と、Gnadaaの小さなメッセンジャーが誕生していました。「伝える事」も私たちにとって、とても大切な支援です。

西中山妙福寺
心を寄せるのも支援

心を寄せるのも支援

何か手伝いたいけど、なかなか手伝えない…。私たちは忙しい毎日を過ごしています。活動には参加できなくても、「Gnadaaの活動はどう?」と心をかけてくれる会話。「一回しか手伝えないけど…」と予定があった時に参加してくれる気持ち。支援は、時間やお金をかけることだけではありません。心を寄せてくれることそのものが、継続的な支援の力になっています。

Global Pandemicから考える

COVID-19のパンデミックでは、「孤立の克服」が重要なメッセージとなっています。自分の身を守るには、距離を置き、マスクをし、家にいるという専門家のアドバイスを、1年以上かけて理解しようと努力しています。国内外の行き来は難しいものとなりました。世界と連絡を取る唯一の方法は、オンラインでお互いに連絡することです。人間は、人と人との関わりの中で生きています。それなのに、今、私たちは、「See you」と言ってバーチャルな会話を終えなければなりません。

パンデミックは、重要なことを教えてくれました。別れの時には、一緒にいることの本当の価値を見直すようになりました。家族や友人との交流がなくなり、ニュースを見聞きするなか私は疑問を抱くようになりました。パンデミックは、ニュースで報道される感染者数や死亡者数だけの問題なのでしょうか。人間は社会的な存在であるはずです。ニュースで知るその先にはどのような一人ひとりの生活があったのでしょうか。
そして、私たちは、このパンデミックのなか何を失っているのでしょうか。

この答えを導いてくれたのが、スリランカの裁縫センターの女性たちとの交流でした。彼女たちは、何千キロも離れた、同じくコロナ・ウイルスの影響を受けた小さな町に住んでいます。そして、長く厳しいロックダウンの間、生き延びる方法を見つけなければなりませんでした。
その方法として、彼女たちは、家で製品を作り、お互いに助け合うことを決めました。

彼女たちの「お互いに助け合う」という決断は、重要なメッセージです。
私たちは皆、直接会う事が叶わなくても、お互いにつながっています。パンデミックであっても、私たちの希望をあきらめることではないことを教えてくれました。孤立して暮らしていても、協力することはできます。
協力する事、団結する事は「生存」を意味しています。

彼女たちの姿は、遠く離れたスリランカから希望を示してくれました。

Gnadaa Japan代表
Suvendrini Kakuchi

https://gnadaa.org/

同時開催