あなたは自分がどのように生まれてきたかについて知っていますか?
すべての人間は、生命として等しく誕生します。
しかし、そのあり方は多様であり、一人として同じ誕生はないでしょう。
誕生にいたるまではいくつものハードルがあり、たくさんの奇跡が重なって、
我々は生まれてきました。
また、世界に目を向けてみると、命の誕生にはさまざまな違いがあります。
医療技術が発展した国では、助けられなかった命が救われるようになりました。
一方、助かるはずの命が助けられない国や地域もあります。
出産方法や支援のあり方も文化や習慣によって様々です。
人類にとって命の誕生とは、生物学的な視点だけでは解くことのできない問題を含んだ事象でもあるのです。
とくに、現代社会では人の生き方、家族や性のあり方が多様化しています。
妊娠や出産についての考え方もさまざまでしょう。
いつ産むか、どうやって産むか。
そもそも、産むか産まないか。
こうした私たちひとりひとりの思いや悩みに応える選択肢を、
現在の医療や科学技術は確かに用意してくれています。
しかし、それだけですべてが解決するわけではないかもしれません。
本展示では、ひとりひとりが安心して妊娠・出産をめぐる選択や判断をしていくために、他にどのようなサポートが必要なのかについて、皆さんと考えることを目的としています。
もちろん、本展示の情報はほんの一部でしかなく、一面的な見方かもしれません。
しかし、一人ひとりが自分の人生を選択し、
どのような生き方を選択しても全ての人が包摂され、
必要なときに支援が受けられる社会について考える、
そのきっかけとなることを願って、私たちは本展示を企画しました。
本展示をご覧になった、ひとりひとりが、改めて自らの考えを深められることになれば、これに勝る喜びはありません。
教授 中野 博子
今回の展示では、出産ジャーナリストの河合 蘭先生に企画段階からすべてご協力いただきました。河合 蘭先生は写真家でもあり、特別展示室で『Birth, Birth, Birth!』写真展も開催しております。併せて是非ご覧ください。
また、筑波大学の福澤 利江子先生にもさまざまにご協力いただきました。
他にもたくさんの方々にご協力いただきました。心から感謝を申し上げます。