Interview 赤木 遥 Akagi Haruka

赤木 遥
作家

1987年、埼玉県生まれ。2011年、東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒。在学時より大西成明氏に師事。卒業後、舞台撮影会社・婚礼撮影会社で商業写真を撮影する。2017年、第一回CANON SHINESに入選、「love letter」を制作。(2018年〜フリーランス)
商業撮影と並行して、ネガカラーフィルムでスナップ撮影し自身の暗室でプリント、展示等で作品発表を続けている。
2023年より東京造形大学非常勤講師としても勤める。

赤木遥氏の選定理由

展示室中央奥に並置される写真作品は、現代美術家・写真家の赤木遥氏によるものである。本作は、彼女の作品群の中から「花」「窓」「食器」「風景」が扱われている作品を選定している。

この壁面は、第2章「シスターという生き方」にあたるエリアであり、シスターたちの働きやキリスト教の普及、さらには大学設立などアカデミックな側面における貢献といったキリスト教の軌跡を紹介している。キリスト教の伝来や著名な出来事そのものに焦点を当てるのではなく、その時代に新たなキリスト教文化に関わった多くの人々の存在が浮かび上がる資料になっている。当時、周囲とは異なる道を選んだシスターたちには、人知れぬ苦悩をも抱え込んだ生活があったことは想像に難くない。

赤木氏の写真作品には、現代の日常に潜む美しさを絵画のように切り取る力がある。そこに収められた被写体は、決して煌びやかな象徴ではない。日々の暮らしの中にある変わらぬ美しさ、とても小さな陶器のきらめきや、枯れ萎れた植物の皺さえも丁寧にすくい取っている。作品からは、赤木氏自身の眼差しと大切にしている世界観が静かに伝わってくる。淡々と過ぎゆく生活の中に希望のような光を見出す制作姿勢が、本展示とのつながりを引き寄せてくれる。

赤木遥氏へのインタビュー

Q1. フィルム写真を選ぶ理由と特性について教えてください。
デジタルカメラやスマートフォンで撮る写真と違ってその場で見ることができず、同じシーンを複数枚撮ることもしないという点が、私にとってはシンプルでやりやすいです。
世代的に子どもの頃はフィルムカメラしかなく、コンパクトフィルムカメラから写真を撮ることを知ったため、そのまま習慣的に身に付いているというのもあるかもしれません。
また、暗室で昔ながらのプリント作業をするのですが、それによってもう一度新しい目で景色を見るような体験ができるところも魅力的です。
Q2. 日常の風景を撮影する際、意識していることはありますか?
無理に撮らない。撮るために景色を探さない。
自然に何かと出会って、撮りたいと心から思った時だけ撮影する。
Q3. 内と外の境界に位置する窓について作品制作の中で意識することはありますか?
写真を撮る時、そのフレームの中に具体物として窓が入っていると、平面の中に生まれる奥行きというか、眼差しの先としての四角の在り方(見え方)について意識することがあります。
窓がある場所=人が居るところ、でもあるわけで、「私の場所とあなた(誰か)の場所」という違いも感じているのかもしれません。
プリントをフレームに入れて展示する際には、壁に風景を掛けるような感覚もあり、新たな空間をつくっていくようでもあります。ある意味では、建築家の視点で窓の配置を考えているようなものとも言えるかもしれません。
Q4. 展示テーマの中で「窓」という存在が新しい文化や光の入る入り口として捉えています。赤木さんにとっての窓のような存在がありましたら教えてください。
写真を通してこれまでたくさんの人や景色に出会ってこれたので、私にとっては写真が窓のような存在といえそうです。
写真自体、フレーミングとしての四角の窓・プリントされた四角い写真から連想される窓など窓を想起させるものとして世間で話されていたりするので、写真の存在そのものにも「窓感」があるように思います。